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50代から始める「デジタル終活」

50代から始める「デジタル終活」4つの必須ステップ|デジタル遺品で家族を困らせないために

おお、アラフィフの勇者よ!
そなたが来るのを待っておったぞ!!

私は「50代から始める終活」を推奨しているわけだが、終活の中でもとりわけ「デジタル終活」が現代では特に重要だと考えている。

デジタル終活?なにそれおいしいの?

インターネットの普及と通信技術の進化により、私たちの生活は完全にデジタル化した。今では娯楽・買い物・金融・各種契約に至るまで、スマートフォン一台で日常生活が完結する時代となった。便利な世の中である。

現在、スマートフォンは一人一台が当たり前の存在であり、持っていないと生活に支障が出るレベルの必需品だ。そして、そのスマートフォンの中には、連絡先や写真・SNS・ネットバンキング・サブスクリプション契約など、個人に紐づく重要な情報が大量に蓄積されている。

このスマートフォンの所有者が突然亡くなった場合、

その端末は「デジタル遺品」となる。

まさに現代の遺品

ロックが解除できなければ、遺族はスマホの中身を確認することすらできず、必要な手続きや契約解約が滞り、不要な支出や精神的負担を家族に残すことになってしまう・・・

アラフィフ勇者であるならば家族に迷惑をかけるわけにはいかぬ!

万が一の際にも家族が困らない状態をつくるために、「デジタル終活」の今すぐ実行すべき具体的な4つのステップを紹介したい。

教えておじーさん!

デジタル終活とは?

「デジタル終活?なにそれおいしいの?」状態の方の前提として、まずはデジタル遺品についてさらに掘り下げてみよう。

デジタル遺品について

デジタル遺品とは、亡くなった方が生前に利用していた電子データやデジタル機器(スマホやパソコン等)に保存された財産や記録全般を指す。

具体的には、以下のような無形の資産や記録が含まれる。

  • デジタル資産(財産)
    ネット銀行(オンラインバンキング)の預貯金をはじめ、電子マネーやキャッシュレス決済のチャージ残高、オンラインで取引中の株式や投資信託、FX、そしてビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)などなど。これらの資産は不動産や銀行の預貯金と同じく相続資産として見なされ、相続税が発生する
  • デジタル記録(情報)
    故人のスマートフォンやパソコン内のデータ、クラウドサービス上の写真やメモ、SNSアカウント(LINE、Facebook、Xなど)、メールアカウント、電子書籍など。

生前の生活の多くがデジタル化された現代では、相続財産に占めるデジタル遺品の割合は年々高まっており、適切な対応が強く求められている。

相続するものを把握すること自体が大変

2. デジタル終活の目的

デジタル終活とは、このデジタル遺品を、自分が生きている間に整理し、死後の取り扱い方法を決定し、家族が必要な手続きを行えるように準備する活動である。

デジタル終活の主な目的は以下の通り。

  • 財産を守る
    ネットバンキングや仮想通貨口座など、本人以外が実態を把握することが難しく、アクセス情報がなければ実質的に回収不能となるため、財産の喪失や回収不能のリスクを避ける必要がある。
  • 遺族の負担軽減
    故人のスマホやパソコンのパスワードが不明な場合、第三者がロック解除することは困難であり、遺族が契約の解約やデータの整理で困るという実務的な課題や精神的負担を未然に防がなければならない。サブスクリプションサービスは解約手続きをしない限り請求が続いてしまうため、この対策は重要である。
  • プライバシーの保護
    他人に見られたくないデジタル情報として「LINE履歴」(26.9%)や「SNS」(15.4%)を挙げる人がいる。死後の個人情報やプライベートなデータが第三者に漏洩し、悪用される危険性やプライバシー侵害を防ぎ、故人の意思に基づいた適切な処理を保証しなければならない。

いやー見ないで―(恥)

序章:デジタル終活が「待ったなし」である理由

デジタル終活への意識と行動に大きな「ギャップ」

終活ガイド資格者を対象とした2025年の意識調査の結果を見れば、デジタル終活の必要性がどれほど差し迫っているかが分かる。

①デジタル終活という言葉を「知っている」または「聞いたことがある人」→61.3%
②デジタル終活を「非常に重要」「やや重要」と感じている→89.4%

デジタル終活の必要性は広く認識されているね

んが、デジタル終活の重要性が認識されているにもかかわらず、実際の行動には大きなギャップがある。

  • デジタル情報を「管理していない」→52.5%
  • 死後にアカウント削除や整理を「依頼している」→8.4%
  • 死後にアカウント削除や整理を「考えていない」→77.8%

必要性は感じつつも行動できていないのか

「デジタル終活で何をすれば良いのか分からない」という課題がこのギャップから読み取れる。

残された家族が抱える具体的な「不安」

デジタル終活を怠った場合、家族が直面する不安は明確である。

調査によると、デジタル終活に関して最も不安に感じていることは「スマホやパソコンのパスワードが分からず、家族が困る」ことであり、28.1%で最多であった。故人のスマホやパソコンのパスワードがわからない場合、ネット銀行の契約先がわからないといった事例も国民生活センターに寄せられている。

また、「契約中のサブスクリプションサービスやネット口座の解約が心配」という実務的な懸念も23.7%と高く、日常的に使うサービスの継続・解約に関する懸念が強く表れている。故人が契約したサブスクの請求を止めたいが、IDとパスワードがわからないという相談事例も存在する。

ステップ1:デジタル終活を怠った場合に発生する3大リスク

デジタル遺品の管理や整理を行わずにいると、遺族は深刻なリスクを背負うことになる。まずはそのリスクを認識したい。

リスク1:大切な財産を失ってしまう

ネットバンキングや仮想通貨口座といった実体のないデジタル資産は、口座へのアクセス情報がなければ実質的に回収不能となり、大切な財産を失ってしまう

デジタル資産は相続財産として見なされ、所有者が亡くなれば相続の対象となり、相続税が発生する。しかし、本人以外(相続人)がデジタル資産を見つけることは難しい。もし故人がデジタル資産を持っていることを知らずに遺産分割協議が終わり、後から発覚した場合、協議をやり直す必要があり、相続税の納付期限を過ぎれば延滞金が課せられる恐れがある。

特に仮想通貨やNFTは評価自体が複雑であり、生前に整理しておかないと相続手続きが長期化し、遺族にとって大きな負担になる。

リスク2:サブスクなど無駄な出費が継続してしまう

動画配信サービス・音楽配信・クラウドストレージ・アプリの有料プランなどなど、現在は多くのサービスがサブスクリプション契約を採用しており、利用者本人が操作しない限り自動で課金が継続される仕組みになっている。故人が何のサブスクを契約していたのかを把握していない場合、誰も利用していないサービスに対して毎月の支払いだけが続いてしまう。

特にクレジットカードや口座引き落としと紐づいたサブスクは気付きにくく、長期間にわたり支払いが発生するケースが少なくない。

サブスクの放置は怖いね・・・

リスク3:ロック解除のために高額な費用と時間を浪費してしまう

もし故人のスマートフォンやパソコンのパスワードが分からなかった場合、第三者によるロック解除には高額な費用と時間がかかってしまう。データにアクセスできない場合の対処法として、専門業者に依頼すると20万円〜50万円程度の高額な費用がかかり、対応期間も1年以上にわたるケースがある。

ステップ2:現状把握と情報の整理・記録

デジタル終活の第一歩は、自分が何を持っているかを正確に把握し、その情報を整理・記録することである。

デジタル遺品をリストアップ

デジタル遺品は、金銭的価値のある「デジタル資産」と、思い出や個人情報である「デジタル記録」の二つに大別される。これらをリストアップしなければ、デジタル終活は始まらない。

  • デジタル資産の例:
    ネット銀行の預貯金、証券、FX、仮想通貨(暗号資産)、電子マネーの残高、NFT(非代替性トークン)など。
  • デジタル記録の例:
    SNSアカウント(LINE、Facebook、Xなど)、メールアカウント(Gmailなど)、クラウドサービス(Googleドライブ、iCloud、Dropboxなど)、写真・動画、電子書籍、ウェブサイトの会員情報など。

まずは把握することだな

見られたくない情報の特定

デジタル遺品の中には、遺族であっても見られたくない「純個人的なデータ」が存在する。死後に家族や他人に見られたくないデジタル情報として、「LINE履歴」(26.9%)が最も多く、「SNS」(15.4%)、「写真・動画」(14.8%)が続いている。

これらの情報について、生前に「処分する」「特定の人だけに開示する」といった方針を明確にしておかなければ、死後にプライバシーが侵害されるリスクが生じる。動けなくなって他人に処分を委ねるよりは、動けるうちに処分することが賢明である。

【最も重要な準備】パスワードの記録とアカウント一覧の作成

デジタル終活で最も必要だと思う準備は「パスワードの記録」(32.1%)であるという認識は間違いない。

パスワードやID、利用サービス名、支払方法を一覧にして書き残す「リストの作成と保管」は、遺族がスムーズに手続きを進めるための生命線となる。長く使っていない証券口座も、少額でも残っている可能性があるので確認し記録しておくべきである。

記録と保管の方法を選択する

パスワードなどの情報は、盗難や漏洩のリスクを考慮し信頼できる方法で保管しなければならない。

  • エンディングノートの活用:
    エンディングノートは、万が一に備えて、自分の死後に関する希望を記したノートである。エンディングノートにスマホやパソコンをはじめ、各種ネットサービスやアカウントのIDとパスワードを一覧にして記しておくと、デジタル遺産をスムーズに引き継ぐことができる。ただし、エンディングノートは盗難や漏洩のリスクがあるため、保管場所を慎重に決めるべきである。
  • パスワード管理アプリの活用:
    「パスワード管理アプリ」を利用している人は28.1%で、一定の活用が見られる。

保管場所は家族と共有しよう

ステップ4:デジタル終活の実践的な対策

パソコン内の大切なデータはフォルダに分かり易くまとめておく

個人的なデータ・思い出の写真や動画・仕事上で重要なデータ等は一つのフォルダにまとめておくことを推奨する。フォルダ名をたとえば「絶対に消すな!」「消したら呪われるぞ!」などにしておいて、そのフォルダ以外のデータは消されても問題ない状態にしておくとベストである。

有料アプリ・WEBサービス・サブスク・有料メルマガを厳選する

月々使用料を払っているサブスクリプションサービスを見直し、使用頻度の低いものや不要になったものは速やかに解約しておこう。複数の動画配信サービスを契約している人もいるが、本当に必要なのかをよく検討してほしい。

スマートフォンの契約オプションを見直す

スマホの購入当時から契約しているオプションなどはないだろうか?故障時の補償・セキュリティ対策のオプションなど、本当に必要なのかを検討し、場合によっては解除しておこう。契約プランがすっきりして気分が良くなるぞ。

ネットバンク口座・証券口座・電子マネーを整理する

ネットバンクや証券の口座は数が多ければ多いほど管理や実態の把握が難しくなってしまう。可能であれば、口座も厳選して必要最小限の状態にしておくと、自身の資産管理も分かり易くなり一石二鳥である。電子マネーも複数利用中の場合、微妙に残高が残っているケースがあるので、しっかり使い切るようしておきたい。

仮想通貨・暗号資産・NFTなどのデジタル資産は売却する

仮想通貨(暗号資産)やNFTといった新しいデジタル資産は相続手続きが煩雑になりそうなため、デジタル終活の一環として売却して現金化しておくことをおすすめする。遺族の負担を減らすためにも、争いの火種となりそうなものは事前に解消しておく方が賢明である。

主要サービスの死後対策機能を利用する

主要なSNS・プラットフォームは、ユーザーの死後に備えた機能を提供してくれている。

サービス名機能/仕組み対策のポイント
Googleアカウントアカウント無効化管理ツール:一定期間ログインがない場合に、指定された人へ通知やデータが渡るよう設定できる。
アカウント無効化管理ツール
Google側はログイン情報(パスワードなど)を第三者に開示しないため、この機能でデータの引継ぎを設定する。
Appleアカウント故人アカウント管理連絡先:指定した人にデータにアクセスできるアクセスキーが送られ、死亡証明書の提出を経てアクセスが認められる仕組みがある。
Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法
iCloud上の写真、メモ、メール、カレンダー、保管されているメッセージなどへアクセスできる。キーチェーンのIDやパスワード、支払情報は対象外となる点に注意が必要である。
Facebook追悼アカウント:知人や家族が申請することで、故人のプロフィールに「追悼」の表示が加わり、友人が思い出を投稿できるスペースとして機能する。
亡くなった利用者や、追悼アカウントにする必要があるFacebookアカウントを報告する
アカウントを完全に削除してほしい場合は、生前に「死後のアカウント削除」を設定しておくことが有効である。
X(旧 Twitter)アカウント停止・削除手続き:「遺族もしくは遺産管理人」が必要書類を提出すれば、停止・削除申請が可能とされている。
亡くなられたユーザーのアカウントについてのご連絡方法
死後事務委任契約で「受任者」に手続きを行う権限を与えることで、X側から遺族や管理人として認めてもらいやすくなる。

上記以外のサービスについても、公式サイトのヘルプページなどで対応を事前に確認するようにしよう。

元気なうちにやっておこう

結論:デジタル終活は「今」すぐ始めるべき

スマートフォンやパソコンの中には、目に見えない重要な財産や個人情報が多く含まれている。

デジタル遺品は放置すれば大きなトラブルや財産損失を招く可能性があり、その対策の遅れは、そのまま残された家族への大きな負担に直結する。

終活ガイド資格者への調査によれば、家族や親しい人と「スマホやSNSをどうするか」について、実際に「話した」人はわずか7.6%にとどまっているが、「話そうと思っている」人は57.8%に上る。

今こそ、この「話そうと思っている」段階から抜け出し、具体的な行動に移すべき時である。

いつ自分が亡くなるかは誰にも分からない

アラフィフともなればなおさらである。デジタル終活は、自分が心置きなく人生を全うし、残される大切な家族の負担を最小限に抑えるための、最も現代的な「愛の形」である。

まずはデジタル終活について大切な人と話してみよう。

マスター死なないで!!

こらこら、もうちょい生きるからw

※注意)文中に出現するすべてのパーセンテージ(%)は、一般社団法人 終活協議会が2025年9月8日に発表した「デジタル終活」に関する意識調査を元にしています

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